創業者インタビュー

「ブームス創業ものがたり」について聞く

インタビュアー
株式会社そらのとり
代表 清水恭子
株式会社ブームス
代表取締役 山﨑徹

個人的にカリスマ的な人気を誇るインテリアショップと思っている「ブームス」ですが、まずはブームスの創業の経緯についてお伺いできますか?

ブームスを始めたきっかけは代々続いた家業の家具屋の廃業ですよ(笑)8,000万円の借金を背負ってのスタートだったんで、マジでヤバい状態から始まったんだよね。

え?そうなんですか?

みんな華々しい話をイメージしてくれるけどね(笑)超ダサいんだよ現実は。
先祖代々続いてきた家具屋がいよいよダメになって廃業することになったんだ・・・・2003年だったかな廃業する直前の事は凄く良く覚えてるなぁ。

明日はどうなるかと夜も眠れなくてね病んでたよ(爆)

山﨑さんでも、やっぱり追い込まれると病んだりするんですか?

自分は26歳で結婚していたから、その時はすでに嫁も子供もいて家族がいるのに無職になっちゃったよ!どーすんだよ!と。

もう希望ゼロの不安しかなかったねー。

それで、どうされたんですか?

それでね、そんな俺のプータロー状態を嗅ぎつけてか?見かねてなのか(笑) 仕入れ先だった東京の家具問屋の社長さんが声をかけてくれたんだ。
「良かったらうちの問屋で働かないか?」って。
働いてくれれば給料は家族を養える分は支払うからって言ってくれてさ。

優しい!!でも、そこでは雇用される立場だったわけですよね?それに廃業前は自分がお客さんだった会社で今度は一番下っ端で働くって事ですもんね?

そう、その通り。
でもね今まで好き勝手やってきた結果が廃業だったわけで、この時には自分の「我」を捨てる覚悟が出来ていたから、お声かけ頂けたことは天からの救いのように感じ素直に応じたよ。

我を捨てるですね・・・自分の事より家族の事を最優先に考えた上の決断だったんですね。それでそのお誘いは受けたんでしょうか?

それがね、条件があると言われたんだ。 その条件ってのが週に4日はそこの会社の問屋で働かせて貰える代わりに、残りの3日は自分が廃業したその場所でもう一度・・・家具屋をやることだったんだよ。

え!!!言い方悪いですが潰れた場所で同じ事をもう一回ですか!・・・それは山崎さんの商才を見抜いてのことだったのでしょうか?

その時俺に商才があったら廃業しなかったはずだけどさ・・・なんだろうね?偉い人の考えてる事はわからないよ。

でも、このまま終わりにさせちゃうにはもったいないと思ってくれたのかなー?そうだったら嬉しいよな。

でも本心は「もう二度と家具屋なんかやりたくない」だったんだ(笑)でも既に「我」を捨てる覚悟をしていたから、その条件もすんなり受け入れられた。

4日+3日=7日で休みが無い事は後で気付いたけどね(爆)

なるほど、その「週3日の再挑戦」から生まれたのがこの「ブームス」なんですね。その方のお陰でブームスが生まれもう一度前に進めるチャンスをくださったんですね。

そうだなぁ・・・・あの社長さんから頂いたものは何か?って今思い返してみると、チャンスというよりか「希望」を与えて下さったんだと思ってる。

人は希望があると「今日よりも明日は良い日になるかも」と思えるようになり明日が楽しみに生きられる。

そんな「希望」を人に与えられる事って本当にすごい事なんだよ。

同じ明日という一日なのに、明日はどうなってしまうんだろうと思うのが不安、明日が楽しみに思えるのが希望・・・心の持ちようですがその差は大きすぎますね。

そんな希望を与えて下さってくれたその方には御礼というか、恩返しはされたのですか?

もちろん事業が軌道に乗ってからも、そして今もずっとお付き合いは続いているんだ。

自分が考える恩返しは「ブームス」の発展と、ここで働く人たちが生き生きと希望をもって幸せに働いてる事が一番の恩返しと思ってるんだ。

なるほど、それは確かにお礼のお歳暮を貰うとは比べ物にならないほど嬉しいかも(笑)

そして今度は自分が頂いた希望をブームスを通じて社員やお客様、そして社会に沢山お返ししていくことが使命だと思ってるんだよね。

なるほど~!

見た目に似合わず、まぁまぁいいこと考えてるべ?(笑)

ではさらにいいことを聞かせてください。ブームスの理念は何ですか?

どんな風に理念を想像してくれてるのかな?清水さんが思い浮かぶままのイメージで教えてよ!

うーん、私の中では山﨑社長って「家具業界の異端児」っていうイメージなんですよね。

へー!異端児かよ!!自分では王道だと思ってたのに(笑)

だから、「誰も見たことのない家具店を目指す」みたいな理念かな?と予想します。

いいね!ありがとう!そういうイメージ嬉しい。

でも違っていて・・・意味的にはむしろその逆に近いかなー。

逆ですか??

決して業界をリードしたいなんて思っていないんだ、リードでは無くて底上げをしたいとは思ってる!

今ってモノは既にありふれているし、生活の中で何かが足りないなんてことは滅多にないじゃん。だから昔と違って「不便・不足」というマイナスを補うインテリアを提供する必要は無くなってきたんだ。

確かに今までは「不の解消」をしてきたビジネスが伸びてきた時代もありましたね。

昔はねそうだった。でも今は個人個人の価値観に合わせて生活をよりプラスにしていくインテリアが求められているんだよね。

なるほど~、マイナスをゼロにするんじゃなくて、日常をゼロと捉えた場合プラスに転化していくビジネスって事ですね。

全ての人が「大切な人と 毎日を楽しく」過ごすためにインテリアをもっと役立ててほしいと強く思ってる。

だから敷居が高くてインテリアの教科書通りの正解を求めるような店にはしたく無くて、インテリアって自由だな!自分の「好き」を揃えていくだけで素敵な空間って作れるんだな!とにかくインテリアって自由で楽しいなって思って貰えるようなお店であり続けたい。

それと業界全体ももっと自由であって欲しいと強く思ってるよ。

なるほど。私は「アレが足りないな」と思ったときしか家具屋さんって行かないのですが、そういう機能性優先の利用方法だけでは今後はなくなっていくということですね。

自分にとっての生活の楽しさや豊かさとは何か?それを家庭や職場の空間で表現してインテリアをもっと日常的に楽しんでもらいたい。

そういう色々なニーズに応えられる様々なスタイルのお店が今後増えて行けば、日本のインテリアの水準も底上げされていくと思ってるんだ。

ふーん・・ 山﨑さんってなんかもっとこう、オラオラした感じの方なのかと思っていました。イメージと違うかも。

あははははは!で、清水さんの思うオラオラってどういう意味?

まだまだだ!やってやるぜオレは!!みたいな。

昔はそういうのもあったけど、今はそういうのはないかなー。

沢山店出して、沢山人雇って、年商上げて、俺はビッグな社長になるぞ!って考えていた時期も確かにあった。でも会社がマジで潰れそうに追い込まれた時に気づいた事があるんだよ。

俺はビッグだ!って事にですか?(笑)

いやいや(笑)
気付いたのは思い通りに行かない時って「足りない足りない思想」に陥っちゃうんだなーって事に。

お金が足りない、時間が足りない、人が足りない、チャンスが足りないって言い出したらキリがないけど、ちょっと自分の考え方を180度変えて全く逆の思考で「今、必要なものはすべて与えられている」って自分の世界を見るようになったら・・・もう世界が変わったんだよね完全に別世界になった。

かなり強引な思考変換ですね。
なかなか出来なそうですが、そう思考というか捉え方を変える事で自分自身の何が変わるんですか?

自分の人生を100%信じられる最強の可能思考になれたって言うのかな?

「全て与えられていのるのになぜ?今それが実現できないんだ?」と考えるようになり、強く想って行動したことは何でも実現できると心の底から思えるようになったよ(笑)

めちゃくちゃポジティブですね!ある意味狂人的なくらい(笑)でもそのくらいの可能思考を持てるくらいメンタルを強く保たないと、経営者ってやっていけないのですかね。そのハイパーなポジティブ思考は山﨑さんにどう影響してきたのですか?

そうなると自分の思った通りがすべて正しいと思えなくなって来るんだ。

困難や思い通りにならない事が起きても「あ、これはこのままじゃ目標に到達しないってサインだな」と捉えられるようになって、起きる出来事は全て自分の人生に必要だから起きてるんだって思えてくるんだ。

なんかもう悟りを開いた仙人のような・・・・・大丈夫ですか?
人間らしく感情むき出しにする事もしてくださいね(笑)

そんな波乱万丈な経験の多い山﨑さんが、これから何かにチャレンジしようとする人に対して、何かアドバイスを頂けませんか?私も含めて(笑)

そうだなぁ何かにチャレンジして行き詰まったとき「まだあれが出来る」「まだこれも出来る」って道が選べるうちはまだ本当の答えが見つからないかもなぁ。

自分の経験上「あぁ、もうだめだ・・・」と、万策尽きたその時にだけ真実の黄金の道が表れてきたような気がする。だからたとえ行き詰ったとしても自分の未来、そして自分の人生を100%信じ切って欲しいと思うよ。

なるほど・・・最後まで綺麗すぎてカッコいいですね(笑)

ありがとう、久しぶりに褒められたよ(笑)